アレルギー性鼻炎の漢方治療
花粉症の他にも、色々なアレルギーがありますが、漢方的には皆、胃腸(漢方の脾)の冷えがベースになっています。
更に、胃腸が冷えて弱ると水を動かす力が弱くなり、胃に水が貯まって、チャポチャポしてきます。この水が鼻に繋がって、鼻から水がでてしまう状態がアレルギー性鼻炎です。
アレルギーでヒスタミンが出て、鼻の血管が拡張すると、それ自体でも鼻詰まりが起きますが、食べ物の中身がそれを更に悪くしています。
甘いもの、油っこいもの、肉類、乳製品(豆乳も含む)、パンや面などの小麦製品、ドライフルーツやナッツ類などは粘る性質を持っていますので、摂り過ぎると粘る要らないものが溜まってきます。これを漢方用語で痰湿と言います。痰湿が溜まると、鼻水も粘って詰まり易くなります。
睡眠が少ないのも鼻詰まりに影響します。漢方では体全体の潤いを“血(けつ)”という字で表します。昼間体を動かして消費して減っていきますから、次の日に使えるよう夜に再生産しておく必要があります。寝ている間に脾(現代医学の胃腸)が血を再生産しているので、寝る時間が短いと、作る時間が短いということになり、血は必ず減ります。血が減ると、潤いが減るので乾いた体質になり、鼻粘膜も乾いて、鼻汁も乾き、鼻汁が粘ってきます。
更に、乾くと過敏になって、刺激に強く反応するようになり、花粉の刺激に対する反応も強くなり、花粉が鼻粘膜に着くと、一気にヒスタミンを放出して、鼻粘膜の血管が膨張するようになります。
このような病態生理でアレルギー性鼻炎は起こるので、治す時はその反対になるようにすれば良い訳です。
胃腸の冷えがベースにあるので、胃腸を温めます。その時、薬で温めても、飲食物で冷やすと、綱引きになって薬が効きません。薬で温めると同時に、飲食物も少し熱いものを取って、薬と飲食物両方で温めることが大切です。
痰湿を減らせば、鼻水の粘りが取れて、鼻が通り易くなります。痰湿を減らすには、まず痰湿の原料を一旦止めます。逆に繊維を摂ると、繊維が痰湿を腸からこそぎ落として、便と一緒に体外へ出してくれます。
トウガラシや胡椒などのピリ辛は、発散作用と言って、ものを散らしたり押し出したりする作用が強いので、鼻水が噴き出すように出てしまいます。辛いカレーを食べると鼻水が出るのがその例です。反対に、酸っぱいものは収斂作用と言って、キュッと絞めて止めるイメージがありますので、治療中は酸っぱくて温かいものを摂りましょう。調理に黒酢を使うとか、梅昆布茶を飲むとか、梅干し舐めながらほうじ茶をすすると良いでしょう。
漢方薬も酸っぱい薬を使います。小青竜湯、苓甘姜味辛夏仁湯、六味丸などです。