中国雲南省や貴州省に住む彝(イ)族は虎を神聖視していますが、
虎から世界が造られる創世神話が伝わっています。
天を造りし神は、虎を捉え、その背骨と四肢で天を固定した。
虎の頭は天の頭に、その尾は地の尾となった。
左目は太陽に、右目は月に、ひげは陽光に、歯は星々となり、
地上に光がもたらされた。
その油は雲に、気は霧に、腹は海に、血は海水と化した。
大腸は大河に、小腸は河川に、腓骨は道に、毛は苗になった。
骨髄は金に、骨片は銀に、肺は銅に、脾臓は錫に、腎臓は砥石になった。
シラミからは水牛と黒ブタ、黒羊、綿羊が、
頭皮からは様々な鳥が生まれた。
雲南教育出版社「西南民族節日文化」より翻訳
毎年農暦の1月15日に双柏県の彝族は
虎節という祭を行います。
虎の衣装を着けた12人の男が、虎の笙舞を
踊り、邪を払い、吉を祈ります。
雲南人民出版社「秘境節祭」より
雲南省に住む納西(ナシ)族にも虎に関する神話が
あります。
雲南民族村で働いていたトンパ(巫師)、和国偉(納西族名はドウー)師から
聞いた話は以下の通りです。
虎の体の模様は火から賜ったもの。
虎の威厳は大河の水の音から賜ったもの。
虎の血は聖水から賜ったもの。
虎の爪は神の鷹から賜ったもの。
虎の尾は神の竹から賜ったもの。
虎の腸はこの世の道から賜ったもの。
虎の肝臓は山の崖から賜ったもの。
虎の肺は風から賜ったもの。
虎の骨は鉄から賜ったもの。
虎の身体は天地万物の精華が集まったもの。
それ故、虎は全ての獣の王となったのである。
納西族は虎を最も早くこの世に出現した動物と見なしている。

ミャンマーの有名な観光地、ゴールデンロックがあるチャイティーヨーでは、時々虎が出て、家畜を襲うため、猟師が退治して体や骨や歯を売っています。上下の牙はセットにすると、強い縁結びになるとか。骨は虎骨として、漢方の祛風湿薬になりますが、
ワシントン条約に引っ掛かりますので、持ち帰りできません・・・。


コロナに翻弄された2年ですが、今年こそワクチンと治療薬の普及でコロナが終息して、虎のように力強く跳躍できる年になることを願っています。
因みに寅年の私は遂に還暦を迎えます・・。